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「その”人的資本経営”は本質的か?」 ホリスティックな知的資本経営を考える

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ICMG執行役員 / 知的資本経営推進担当

登内大輔(2004年中途入社)

ICMG(および前身の(株)アクセル)の創業まもなくから参画し、人的資本経営、知的資本経営について考えを深めてきた彼。リーダーシッププログラムにおいてその考えを伝え、実践しています。近年より注目されている「人的資本経営」に対しての彼の思い、ICMGの知的資本経営の本質を聞いてみました。

-リーダーシッププログラムを担当されていますが、どんなところにやりがいを感じますか

リーダーシッププログラムには8年ほど前から携わり、クライアント企業の主に次世代経営者層へのコーチングや、プログラムの設計を担当しています。ICMGのリーダーシッププログラムは、講義を聞くだけのような受け身の「研修」ではなく、参加者やコーチ陣で対話を交えながら、本人が当事者意識をもって会社と社会の未来について考えを深め、新たな気づきを得られるよう設計しています。Lead the Selfを起点に、Lead the People、そしてLead the Company, Societyへとつなげていくことを意識しています。
担当し始めたばかりのころは、どうしても「こうあるべきだ」というように参加者に自分の期待値や考えを押し付けたくなってしまうこともありました。また、こういうインプットをしたらこういうアウトプットが出るはず、という設計で、「人を思い通りに動かす・考えさせる」ことに思考がいっていたなと今になると感じます。しかしそこを冷静に、本人が自ら気づき、自分なりの答えにたどり着くようアシストすることを心掛けています。するとコーチングのおもしろさもそこにあることに気づきました。自分が導きすぎてしまうと予想の範囲内の回答や成長しか返ってこないですが、一人一人の言葉に耳を傾け、カリキュラムにも少し余白や「あそび」を設けることで、予想しなかった発想や成長、シナジーが生まれてくるんです。人はマシーンではありません。だからこそ予想もできない可能性があります。「人的資本経営」は最近ヒットワードのひとつですが、この言葉自体、経営側・人を扱う立場の人が使うものになっていると感じます。結局対象としているのは、予想できない可能性がある「人」。人を思い通りにしよう、掌握しよう、「こんな投資をしたらこんなリターンがあるはず」という考えには限界があります。もし自分が一人の「人」としてそんなことを言われたら、反発したくなる(笑)「いやいや、甘く見ないでよ」「そこまででいいの?!」とか。人の可能性を型にはめない。人の可能性にかける=期待をする、これが本来の人的資本経営で絶対に忘れてはいけないことのはずです。

-ICMGは創業以来、上記リーダーシッププログラムをはじめとして「人的資本経営」そして「知的資本経営」にフォーカスしてきました。こちらについてどうお考えですか。

さきほども言ったように「人的資本経営」は多くのセミナーでもテーマになっていますし、「ISO 30414」等のワードも広がり、ブームです。毎日のビジネス系メルマガも、このワードが入っていないものはないくらいですね。ICMGで長年仲間達と知的資本経営について考えてきた立場からすると、本質的に意味のある人的資本経営とは、「人的資本のみ」にフォーカスして人的投資をするだけでは不十分ではないかと感じています。ICMGは企業・組織を1本の木に例えて、その木を支える根っこ(価値創造の源泉)が人的資本を含む知的資本だと考えています。そして根っこの上には幹(価値創造プロセス)があり、果実(成果)があり、最終的に社会価値、社会へのインパクトを示すパーパスがあります。実らせたい果実によって根がどんな状態にあったら良いのか、どういった栄養を与えたらいいのかは当然変わりますよね。逆に、根である知的資本の強みを可視化できたことによって、その根を持つ会社だからこそ目指せる果実やパーパスの形を思い描けるようになる。そして経営戦略に役立てることもできる。さらにそのパーパスが、社会にとって価値のあるものかどうかも大切です。「人的資本」は、資源ではなく、「資本」という言葉を使っています。資本と言うからには、何かしらの価値に繋がるものです。人が生み出す価値、それが他の価値に繋がったり、転換されたりしているはずです。つまり本質的に価値のある人的資本投資をする上では、結局もっと俯瞰的な目線で木の全体を考えなくては意味がないと思っています。そういう点で、ICMGは実際の事業開発・実装にまで関わるなど、根っこだけではなく幹や果実の部分まで視野にいれたホリスティックな“本当の人的資本経営”を実践していると思います。
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-「人的資本の可視化」も近年注目されています。ICMGでは具体的にどのようにクライアントとともにそれらに取り組んでいるのでしょうか。

ICMGの知的資本可視化ツールとして「IC Rating®」があります。こちらは経営の舵取りをする上で、経営者が把握しづらい3つの実態を可視化する手法です。この3つとは①社外からの認識、②現場の認識、③組織間の連携の認識であり、クライアントにもよりますがCEOや現場社員、社外取引先なども含むあらゆるステークホルダーにインタビュー形式でその人の視界や思考の奥底にあるものを引き出していきます。これは決して統計的に答えを導こうとしているものではありません。IC Rating®で可視化しようとしているものは、知的資本、つまりは将来に向けた価値創造の源泉。インタビューで実際の生の声を聞いてみると、クライアントが自覚しているものとはギャップのある回答も出てきます。例えば、自社が思っているほど顧客は評価していない、またその逆だったり。それらは時間と手間をかけないと入手できない視点ですし、将来の経営においても大変貴重な視点です。最終的にはそれらを集計して独自資料にまとめ、今後の経営戦略を共に考える材料とします。
ここでも先ほどお話したホリスティックにものを見る(診る)ということが欠かせません。人的資本を把握したい!と言って、結果、人的資本が素晴らしい、もしくは弱っています、といった結果が出た時に、経営はどんな判断を下すのでしょうか。開示は本来「人的資本からの価値創造ができる会社」つまりは「将来にわたって価値創造ができる会社」であるのを示すことにこそ意味があります。結果が出た後の「だから?なぜ?」というところに、その会社らしさが見えてくるはずです。
このIC Rating🄬によって企業・組織の価値創造の源泉の状態を見える化し、さきほど話した一本の木のどこにテコ入れすべきなのかを共に考えます。ロジカルに考えることも当然大事ですが、将来のことですから、よりクリエイティブに。そしてそのテコ入れがどういった範囲のものであってもICMGは一緒に伴走することができるのが強みですね。

-知的資本を可視化することは、最近多くの大企業が策定している「統合報告書」などの人的資本開示においても重要になってきますね。

その通りです。統合報告書とは財務情報と非財務情報から構成される企業の報告書で、従来の投資家から見た価値だけではなく社会、地域、顧客、従業員等を含めたマルチステイクホルダーの視点で語られています。そのため統合報告書には、実はその企業の知的資本経営が表現されています。財務諸表だけで企業の将来性が判断できたのはもう過去のことで、現在は非財務つまり知的資本、アウトカムを鑑みた上で、真の企業価値を考える必要があります。以前は財務上のコストとして捉えられてしまっていた「人」が、いまや企業の将来性を判断する上で重要な資本であることは明白です。ICMGは20年以上前の創業当初からその考えのもと経営をしています。
近年多くの企業が統合報告書を作成して、その中で人的資本の開示を行っていることにもその潮流が表れていると思います。また、人的資本レポートも今後どんどん増えてきます。ちょうどICMGの「統合報告書2022」が先月完成したばかりです。もちろん私も策定に携わり、初年度版としてICMGの目指す社会、パーパスを表現することに力を注ぎました。トップページからダウンロードもできますのでぜひご覧いただきたいです。

-どんな仲間と一緒に働きたいですか?

ICMGのValueに共感・実践できることは前提として、自分の強みをしっかりと持ちつつも、他の範囲にもチャレンジできる人ですね。自分の中に軸足を持ちながらも、何かしらと掛け算ができる人。世の中にはたくさんの専門性がある人たちがいます。「自分ならでは」の何かがあれば、その人たちと、戦う・競うのではなく、共創(Co-Creation)できるはずです。特にマネジャー層ならば、自分の得意分野だけに閉じこもっていては出来ない仕事ばかりです。僕も主に人的資本分野の業務に携わりながらも、企業変革・組織変革プロジェクトにも関わっており、新しく学んで実践することは多いです。常に頭に、あの一本の木を置いて、どこがどうなっているのか?どんな可能性があるのか?と思考を巡らせています。だからこそ、先ほど言ったように人的資本だけに留まらない視点も持って仕事ができるようになると思います。

-ICMGの未来の仲間へメッセージをお願いします。

自分がインプットを蓄えれば蓄えるほど、社内外の周りの人々へのアウトプットが大きくなっていくことを実感できる会社です。そのアウトプットを受けた人から自分もまたインプットして・・と良いサイクルで仕事ができると思います。幅広い業務に携わることで、自分の新たな掛け算を生み出して、自分の世界を大きくすることが出来ますよ。
About ICMG Group
ICMG Group is a business co-creation partner for Japanese companies that delivers solid results through co-creation with diverse stakeholders by visualizing the invisible value of a company's intellectual capital that does not appear on the balance sheet.
For more than 25 years since its establishment, the Group has been providing services in Tokyo, Singapore, Bangalore, Abu Dhabi, Nairobi, San Francisco, Shanghai, and Stockholm, including intellectual capital evaluation, which is the source of corporate value, strategy development based on such evaluation, execution, leadership development, business investment, venture capital We are committed to creating results for Japanese companies by co-creating with our clients in a comprehensive manner, including M&A, UI/UX design, engineering, recruiting, and the establishment and management of joint ventures.
We have also established a joint venture in Singapore with Tokyo Electric Power Company and Chubu Electric Power Company to invest in renewable energy and next-generation infrastructure, and have entered into a partnership with the United Nations UNDP on SDG innovation. In venture capital, we have co-invested in India with top global VC firms such as Sequoia Capital, Google, and Tiger Global Management, etc. In 2023, ICMG Digital will accelerate innovation in society by connecting the paths and visions of the management of Japan's largest companies with the power of digital technology. ICMG Digital, which will accelerate innovation in society by connecting the paths and visions of the management of Japan's largest companies with the power of digital technology.
The core value of the ICMG Group, which has created such diverse value, lies in its Intellectual Capital Management, which has always visualized the invisible value of companies and organizations, envisioned their future vision (Purpose), and realized their value creation.

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